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ロシア音楽尽くし・・・東京都響@サントリーホール 2010.9.24

今日から、東京都交響楽団の秋の定期演奏会がスタート。

その第1弾はロシアのベテラン指揮者アレクサンドル・ドミトリエフによるオール・ロシア・プログラム。ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲を作曲家と同名の若手ヴァイオリニストのセルゲイ・ハチャトゥリアンが演奏するのも面白いですね。なお、名前が同じだけで血縁関係はないとのことです。

本日のプログラムは以下。

 シチェドリン:管弦楽のための協奏曲第1番「お茶目なチャストゥーシュカ」
 ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲
  《アンコール》
    コミタス:アプリコット・ツリー(ヴァイオリンソロ)

  《休憩》

 ショスタコーヴィチ:交響曲第1番

で、予習したのは以下のCD。

 シチェドリン:管弦楽のための協奏曲第1番「お茶目なチャストゥーシュカ」
  残念ながら、CD所有せず。予習不可。

 ハチャトゥリアン:ヴァイオリン協奏曲
  ランパル(フルート)、コンセール・ラムルー管弦楽団
   昔からこの曲はランパル演奏のフルート協奏曲として聴いており、
   CDもオリジナルのヴァイオリン協奏曲は所有せず、
   今回もフルート協奏曲で予習。
   ランパルのフルートの技巧が光るが、
   やはり、この曲は本来のヴァイオリンがよさそう。

 ショスタコーヴィチ:交響曲第1番
  バーンスタイン指揮 シカゴ交響楽団
   役者は揃っているが、今聴くと、いま一つの感あり。
   新古典としての演奏はよいが、ロシア的抒情が感じられない。

さて、1曲目のシチェドリンは初聴き。
新古典の雰囲気で軽やかな管楽器の演奏でスタートし、耳に心地よく感じられます。9分ほどの短い曲ですが、時として、大音響でうるさく感じることもありますが、スリムでモダンな曲です。言わば、ロシア版のバーンスタインといって感じです。
ドミトリエフの指揮は初めて聴きますが、上述したとおり、時として、大音響で鳴らし過ぎるのがうるさく感じられますが、それ以外は手堅く、ロシアものをまとめているというところです。ゲルギエフの緻密で知的な演奏は重苦しくも感じますが、逆にドミトリエフは無骨に元気過ぎの感じです。

2曲目はハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲。えらく若いヴァイオリニストが登場し、びっくりですが、彼は1985年生まれというから25歳くらいですね。
演奏はまさにハチャトゥリアンといった感じで、威勢がよかったり、民俗的抒情があったりで、曲の表情をうまくつかんだ演奏です。さすがに作曲家と同名だけのことはあります。
ただ、この曲自体が芸術的高みにあるというよりも、演奏効果を狙ったような曲なので、いま一つ、彼の芸術性は評価できません。楽器は日本音楽財団から貸与されたストラディヴァリウスだそうですが、響きも今ひとつの感じです。
今後の成長を楽しみにしましょう。

3曲目が今夜のメイン。ショスタコーヴィチの交響曲第1番です。
以前、ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団でも聴きました。
新古典の雰囲気で始まりますが、それで終わらないのがショスタコーヴィチの天才たるゆえんです。
一番好きなのは第3楽章のうねるような動きを繰り返し、盛り上がっていくところです。
今日、その第3楽章の冒頭を聴いて、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》の愛の動機を連想しました。どちらも無限旋律を生かした曲です。
ショスタコーヴィチはワーグナーと違って、個人的な「愛と死」をさらに発展させて、もっと人類共通の普遍の地平を目指しているように感じます。
この路線でもっと大きな曲に仕立て上げても面白かったでしょう。

この曲全体の演奏は都響の音の響きはなかなかよかったのですが、指揮者の特性でしょうが、時として、大袈裟な表現になってしまったところが残念でした。
ゲルギエフが指揮していたら、もっと精密で内容の濃い演奏になったでしょう。オーケストラの潜在能力の高さは感じました。
音楽は難しいですね。

今夜のコンサートは昨日のように感動とまではいきませんでしたが、それなりに楽しい時間が持て、そこそこ満足でした。




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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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