ドヴォルザーク、ルトスワフスキ:庄司紗矢香+東京交響楽団@ミューザ川崎 2014.10.19
今日はドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲です。この曲を実演で聴くのは初めてです。最近はチェロ協奏曲同様に人気があるようですね。真っ赤なロングドレスで颯爽と登場した庄司紗矢香の演奏は期待通り、見事な演奏で満足しました。このところ、庄司紗矢香の演奏レベルは非常に高く、期待を裏切られることはまったくありません。今日の演奏は余裕しゃくしゃくという感じで成熟した演奏です。第1楽章は派手な出だしの曲ですが、彼女の演奏は嫌味のないすっきりとした表現で爽やかでさえあります。圧巻だったのは第2楽章です。木管と絡み合いながら、しみじみと抒情的な響きで魅惑的な音楽をくりひろげます。何とも素晴らしい音楽にうっとりしながら、聴き惚れます。第3楽章は、チェコの民族舞曲の一種であるフリアントの様式で書かれていますが、まるでスラヴ舞曲を聴いているいる雰囲気です。庄司紗矢香のヴァイオリンはそれを小気味よく奏でていきます。そして、爽快にフィナーレ。まったく、素晴らしいの一語です。こうやって聴くと、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲もチェロ協奏曲と同じように楽しく聴けますね。
このコンサートに向けて、予習したのは以下。
ヨゼフ・スーク+ノイマン指揮/チェコ・フィル。
チョン・キョンファ+ムーティ指揮/フィラデルフィア管弦楽団。
スーク、ノイマン、チェコ・フィルと揃うと、もう文句のつけようがありません。まさに本場ものです。しかし、あまりに民俗的過ぎて、もう少し、芸術性高く演奏してもらいたい感じも残ります。その点、チョン・キョンファのヴァイオリンは香気高い演奏で、実に繊細極まりない表現で素晴らしい音楽を展開します。
いつも素晴らしい庄司紗矢香のアンコール曲は今年の1月のサンクトペテルブルク・フィルとの共演の折にも弾いたパガニーニの超絶曲で、とても素晴らしい演奏でした。
今日の残りのプログラムは指揮のウルバンスキのお国ものであるポーランドの20世紀の作品です。キラルの交響詩《クシェサニ(閃光)》は映画音楽みたいな強烈なサウンドが轟きわたる前衛的な作品。素晴らしかったのは、ルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲です。バルトークの同名の作品の影響を感じさせる曲ですが、オーケストラが多彩な響きで素晴らしい音楽を展開しました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ
ヴァイオリン:庄司紗矢香
管弦楽:東京交響楽団
キラル:交響詩《クシェサニ(閃光)》
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53
《アンコール》ヴァイオリン・ソロ
パガニーニ:「ネル・コル・ピウ(うつろな心)」による変奏曲ト長調op38より
《休憩》
ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
いやはや、庄司紗矢香の音楽はどこまでも熟成していくようです。今後も彼女の演奏を聴くのが楽しみです。
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