「フィガロの結婚」@バイエルン国立歌劇場 2010.7.14
今夜のオペラはミュンヘンのオパーン・フェスト・シュピーレ。
会場はもちろんバイエルン国立歌劇場。
トラムに乗る予定で乗り場に向かいましたが、かなりトラムが遅れているような表示が出ていていました。仕方なく、地下鉄で迂回して行きましたが、十分に早めに出発したお蔭で、無事余裕で間に合いました。
今夜のオペラはモーツァルトの「フィガロの結婚」。素晴らしい出来にsaraiは大満足。大好きなソプラノのフリットリも出ていたし・・・。
さて、今回に備えて予習していたのは以下。
・ザルツブルグ音楽祭2006
指揮:アーノンクール ウィーン・フィル
フィガロ:ダルカンジェロ スザンナ:ネトレプコ
伯爵夫人:レシュマン 伯爵:ボー・スコウフス
ケルビーノ:シェーファー マルチェリーナ:マクローリン
バルバリーナ:エヴァ・リーバウ
現在、望みうる最高のキャストで公演したもので、音楽的にはまったくもって素晴らしい。ただ、演出がザルツブルグらしく、ちょっとね・・・・
それとシェーファーのケルビーノの素晴らしかったこと。完全にネトレプコを食っていました。
で、今回のキャストは以下。
指揮:ヴァルクハ
演出:ディーター・ドーン
フィガロ:ダルカンジェロ
スザンナ:ティリング
伯爵夫人:フリットリ
伯爵:クヴィエチェン
ケルビーノ:ボニタティブス
バルバリーナ:ソトニコヴァ
何と言っても、フリットリの伯爵夫人が聴きたくて行ったオペラです。
席はいろいろとトラブルはあったものの最終的には、平土間の2列目のまさにど真ん中を確保。贅沢な鑑賞が期待できる席ですね。
まずはオペラ史上最高に素晴らしい序曲が始まります。期待しましたが、まあまあというところです。もう少し、演奏にわくわく感があればなあと感じました。大いに残念です。
ウィーンはあんなにうまいのにね。
でも、オーケストラは全体に言えば、モーツァルトの本質をついた見事なアンサンブルで序曲以外は満足でした。
さて、まずはスザンナとフィガロの出番。スザンナ役のティリングは以前バーバラ・ボニーの代役(小沢塾の公演)で聴いたことがありますが、そのときに比べるとなかなかの出来。この人はネトレプコのように声量のあるタイプではありませんが、実に透き通った声でスザンナのイメージにぴったり。演技力もなかなかです。それに比べて、スター歌手のダルカンジェロはもうひとつの出来。でも、さすがにベテラン。徐々にペースをあげ、4幕目では素晴らしい歌唱。
圧巻だったのが伯爵役のクヴィエチェン。声の張りといい、声量といい、素晴らしいバリトン。一番の収穫でした。
ケルビーノ役のボニタティブスは結構よいのですが、どうも安定感に欠け、歌の完成度が今一つ。今後に期待。どうしても、シェーファーと比べてしまいますが、それは酷ですね。でも、聴衆にはえらく受けていました。
さて、肝心のフリットリ。相変わらずの美声です。アリア2つとも感激です。あの透き通る美声の心に染み入ること、この上なし。
また、帰国後すぐに来日するトリノ歌劇場でミミが聴けるので、楽しみも倍増です。
まあ、ほかの歌手とは格が違うと言えば、叱られるかな・・・
全体にこのオペラの本質であるアンサンブルオペラがピタッと決まっていたのが印象で、これだけのモーツァルトが聴けるのはここのほかはウィーンくらいだなと思ったくらいの素晴らしいモーツァルトでした。
それにこのオペラはsaraiの好きな3大オペラの一つでもありますしね。ちなみにほかの2つはプッチーニの「ラ・ボエーム」とR・シュトラウスの「薔薇の騎士」。書いてしまえば、あまりに一般的ですが、いいものはいいので、仕方がないでしょう。
で、フィナーレの素晴らしかったことは特筆できます。
伯爵がこれまでの非を悔いて、実に深いメロディーを切々とした歌唱で伯爵夫人に許しを請います。
伯爵夫人=フリットリは透明な天からの声で、優しく伯爵を許します。
これって、男すべての罪、あるいは人すべての罪を聖母マリアがすべてを包み込んで、許してくれる究極の救済であり、フリットリはもう天上の人そのものとしか思えません。
これが「フィガロの結婚」の真のテーマであり、すべてはこの1点に向かって、一見、コメディータッチの劇が進行していくわけです。
このモーツァルトの畢生の名作を見事に表現しきった瞬間がフリットリのフィナーレの歌唱だったと感じました。
最後は一転して、人生の喜びを謳歌するように、アップテンポの最終歌唱で舞台も観客席も一体化して、昇華・・・・
このモーツァルトは今回のヨーロッパで一番、満足できたオペラでした。
ホテルに帰り着いたのは、トラムがなかなか来なかったせいもあり、かなり遅くはなりましたが、満足の睡眠になりました。
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