ミステリアスな一角獣ワールド、東京都交響楽団@サントリーホール 2015.5.29
全編、オーケストラの奏でる夢幻的な響きがマジカルな音響空間を構成し、一角獣の鳴き声を模したクラリネットの響きが聴衆に魔法をかけて、異空間に連れ込むかのような印象を強く感じました。実際、最後の「D’OM LE VRAI SENS(人の真なる感覚/意味)」のパートで音が絶えたとき、魔力に囚われたような感じを覚えたのはsaraiだけではなかったでしょう。異次元の体験でした。
この魔力でsaraiは7月の旅でクリュニー美術館にタペストリー《貴婦人と一角獣》を見に行くしかないと観念しました。タペストリーの前に立つと、この摩訶不思議な音響が頭の中に響き渡りそうです。
2つ目のプログラムはニールセンの交響曲第3番。実はニールセンの交響曲を聴くのはこれが初めてです。6月のウィーンでニールセンの交響曲第5番をウィーン交響楽団(ブロムシュテット指揮)で聴くので、ちょうど、ニールセンの交響曲を聴いているところだったので、とてもよい機会でした。ニールセンの交響曲は爆演か、精密な演奏か、極端になることも多いようですが、今日は指揮者が爆演志向なのに対して、都響がそれなりに上品な演奏(美しい演奏)をしているという微妙なバランスになっているように思えました。リハーサルをもっと重ねると、よく練り上げられた演奏に昇華したでしょうが、それでも、今日のレベルも十分に楽しめる演奏ではありました。作品自体が交響曲第3番は第5番に比べると、素朴な要素が多いので余計にそう感じたのかもしれません。次回はこのコンビで第5番に挑戦してもらいたいものです。このコンビで期待するのは、もちろん、爆演です。
そうそう、予習したCDは以下のものでした。ネーメ・ヤルヴィが卓抜なリズム感覚で見事な演奏を聴かせてくれました。ブロムシュテットは旧盤のデンマーク放送交響楽団を指揮したもののほうが爆演で熱い演奏を聴かせてくれて、面白く聴けました。
ブロムシュテット指揮デンマーク放送交響楽団
ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団
ネーメ・ヤルヴィ指揮イェーテボリ交響楽団
最後に、今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:トーマス・ダウスゴー
クラリネット:カリ・クリーク
ソプラノ:半田美和子
バリトン:加耒 徹
管弦楽:東京都交響楽団
サーリアホ:クラリネット協奏曲《D'OM LE VRAI SENS》 (2010)(日本初演)
《休憩》
ニールセン:交響曲第3番 Op.27《広がりの交響曲》
ところで、クラリネットのカリ・クリークがアンコール演奏すると見せかけて、クラリネットの接合部を引き抜いてみせたパフォーマンスは最高の技でした(笑い)。完全に引っかかりました。
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