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秀逸なアンコール・・・庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタル@サントリーホール 2015.6.9

本編のプログラムもさることながら、アンコールに脱帽でした。
庄司紗矢香のコンサートはいつも考え抜かれたアンコールに驚かされます。今日は20世紀の旧ソ連で名をなした作曲家2人の作品。2人とも旧ソ連では体制に牙をむいていた作曲家。そして、彼らの作品を積極的に取り上げて、世界に紹介してきたのはギドン・クレーメルでした。そのクレーメルも今日の庄司紗矢香の演奏には満足してくれるでしょう。
1曲目はシュニトケの祝賀ロンド。シュニトケと言うので、それらしい曲かと思えば、実に古典的な作風の穏やかな曲です。そのうちに曲調が変わってくるのかと思っていると、結局、最後まで古典的な曲でした。後で調べると、この曲はボロディン弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンだったロスティスラフ・ドゥビンスキーの50歳の誕生日を祝うために贈った曲だそうです。シュニトケというと、多彩な作風で知られていますが、いくらなんでも古典的という作風は含まれない筈です。旧ソ連当局の文化政策は人民に分かりやすい芸術というのがスローガンだったのですが、もちろん、それに迎合したのではなく、ロシア風の古典ではなく、ドイツ風の古典風の曲を書いて、皮肉ったと言うところでしょうか。庄司紗矢香は実に古典的に美しく演奏して、シュニトケの意図に応えました。本編のプログラムの前半はドイツの古典音楽(モーツァルトとベートーヴェン)だったので、それに呼応したとも言えます。まあ、お洒落な選曲ですね。クレーメルならば、この古典風の曲のなかに不協和風の響きも織り込むでしょうが、庄司紗矢香にそれは似合いませんから、今日の演奏で満足です。
2曲目はシルヴェストロフの『ポスト・スクリプトゥム』(ヴァイオリンとピアノのためのソナタ)です。これは誰の曲か知らずに聴き始めましたが、庄司紗矢香の繊細なヴァイオリンの響きに引き込まれてしまいました。なんともロマンティックで、かつノスタルジックな抒情が心に中に響いてきます。ありきたりな調性音楽の抒情とは一線を画しています。これまで聴いたことのないような不思議な音楽です。新しさはあるけれども、現代音楽特有の匂いは感じません。さわやかで懐かしさを感じさせてくれる素晴らしい音楽に大きな感銘を受けました。
この2曲のアンコール曲を聴くためだけでも、このリサイタルに足を運ぶ価値がありました。2曲目のアンコール曲の前に席を立った観衆のかたもいましたが、とてももったいなかったですね。

さて、本編のプログラムですが、前半のモーツァルトとベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは大変、安定した演奏。とても美しい演奏でもありました。特にベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第6番の第2楽章の美しさと言ったら、特筆ものでした。まあ、それで十分なんですが、そこから、もっと聴く者をインスパイアしてくれるような刺激的な演奏も聴きたくなります。このあたりは趣味の問題もあるので、聴く人によって、色んな意見はあるでしょう。因みにsaraiは最近、ムッターのモーツァルトにはまっています。彼女のモーツァルト・ヴァイオリン・ソナタ全集は素晴らしい演奏。今更ながら、ムッターを再評価しています。どの曲も輝きを放っています。つまらない演奏だと、モーツァルトも退屈しますが、彼女のモーツァルトは《退屈》の2文字とは無縁です。庄司紗矢香もうっとりするくらい、素晴らしいヴァイオリンの響きを聴かせてくれるようになりましたが、今後は個性的な演奏に精進することを望みたいと思います。

後半はまず、ストラヴィンスキーのイタリア組曲。今や、庄司紗矢香の美しいヴァイオリンの響きとテクニックをもってすれば、こういう曲は素晴らしい演奏になることは約束されています。もっとスリリングな演奏もあるかもしれませんが、まあ、この演奏で十分、楽しめました。
次はラヴェルのヴァイオリン・ソナタ。本編のプログラムではもっとも満足できた演奏でした。第1楽章、第2楽章の美しい響き。第3楽章の後半に向けての高揚感。見事な演奏です。

でも、一番、素晴らしかったのはアンコール曲。ちょっと、しつこいですかね・・・。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  ピアノ:ジャンルカ・カシオーリ

  モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第35番 ト長調 K.379
  ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第6番 イ長調 Op.30-1

   《休憩》

ストラヴィンスキー:イタリア組曲
  ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
    
   《アンコール》
     シュニトケ:祝賀ロンド
     シルヴェストロフ:『ポスト・スクリプトゥム』から第2楽章

次はチェコ・フィルとの共演。ビエロフラーヴェクとの息がどう合うかも興味津々です。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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