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究極のベルク、そして、美しきエルトマン:オペラ《ルル》@ネーデルランド・オペラ 2015.6.28

2回目のベルクのオペラ《ルル》を聴きました。無理して、スケジュール調整して2度も聴いた甲斐がありました。まあ、お蔭でウィーンからの飛行機のチケットを間違って予約し、その変更に多大な手数料(一人1万5千円)も支払うというおまけもありましたが、それも吹っ飛ぶ会心の演奏でした。

正直言って、ネーデルランド・オペラ(DNO)がこんなに素晴らしいとは思ってもみませんでした。オーケストラピットにロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団がはいったということも大きかったのでしょう。

今日も終幕の素晴らしさに大変な感銘を受けました。第3幕は補筆版ですが、終幕部分はベルク自身のフルスコアが残されていたので、真正なベルクの音楽です。エルトマンのルル、ロイターの切り裂きジャック、ラルモアのゲシュヴィッツ伯爵令嬢の迫真の歌と演技、そして、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の鮮烈な響きによって、衝撃的なベルクの音楽が見事に生き返りました。3幕補筆版がブーレーズ指揮でパリ・オペラ座で初演されてから50年近く経ちますが、真打ちとも言っていい演奏が登場しました。

今日の公演は今シーズンの最終公演。プレミエが6月1日で、計8回の公演があり、saraiは最後の2回を聴いたことになります。今後はこのケントリッジ演出がメトロポリタン・オペラでも公演されるでしょうが、演出が素晴らしいのではなく、今回のキャスト(特にエルトマン)とロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏という音楽自体が素晴らしかったんです。お友達の話では、今回の公演は既にオランダ放送協会が録画収録済だそうです。早く、DVD(BD)の発売が望まれます。

今日は第1幕から、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の素晴らしい響きと歌手陣の絡まりあいが素晴らしく、見事なバランスの演奏。特にコンサートマスターのヴァイオリン独奏とエルトマンのぴたっと合ったアンサンブルは驚異的でした。ベルクの複雑な音列を2人の演奏者が離れた場所であんなにしっかりと合わせるとは神業としか思えません。エルトマンはしっかりと声が出ていて、特にスーパー高音での歌唱はパーフェクト。DVDで聴いたベルリン国立歌劇場の公演での歌唱を凌駕していました。メトロポリタン・オペラも彼女をルルに起用すればいいのにね・・・。

聴きどころ満載で何を書いたらよいか分かりませんが、第1幕第2場のシェーン博士が画家ワルターを精神的に追い詰めていくシーンの高揚感、そうそう、その前のルルとシゴルヒの絡まりあいも素晴らしいです。第1幕第3場のルルがシェーン博士を翻弄していくシーンのマゾ的な迫力は凄まじく、第1幕のフィナーレはルルに喝采を送りたいほど会心の歌唱です。
第2幕第1場のルルがシェーン博士を撃ち殺すまでの高まり、第2幕第2場でルルが脱走に成功した後、アルヴァを籠絡するシーンのリアルな歌唱は忘れられないシーンです。
もちろん、場の転換でのオーケストラの間奏はどれも最高の演奏をロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が聴かせてくれて、ベルクのオーケストラ曲の最高の魅力を感じさせてくれました。厚みがあって、切れ味も鋭い弦楽パート、名人芸の木管、同じく金管にはうっとりするばかり。短いパッセージですが、サックスを吹くおばさんの乗りに乗った演奏も見事。指揮のローター・ツァグロセクも素晴らしい指揮でした。当初予定されていたファビオ・ルイージよりもよかったかも。指揮者のすぐ後ろのかぶりつきで見ていたので、指揮者の的確な棒がよく分かりました。

衝撃的な幕切れ・・・圧倒されて、息もできないほどです。これがベルクの最高傑作の真の姿なんですね。いつまでも前衛として、その新鮮な魅力は消えることはなさそうです。

プログラムとキャストは以下です。

  指揮:ローター・ツァグロセクLothar Zagrosek
  演出:ウィリアム・ケントリッジWilliam Kentridge
  管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

  ベルク:オペラ《ルル》

  ルル:モイツァ・エルトマンMojca Erdmann
  ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:ジェニファー・ラルモアJennifer Larmore
  衣装係/ギムナジウムの学生:レベッカ・ジョー・ローブRebecca Jo Loeb
  ワルター(画家)/黒人:ウィリアム・バーデンWilliam Burden
  シェーン博士/切り裂きジャック:ヨハン・ロイターJohan Reuter
  アルヴァ:ダニエル・ブレンナDaniel Brenna
  力業師:ヴェルナー・ファン・メッヘレンWerner Van Mechelen
  シゴルヒ:フランツ・グルンドヘーバーFranz Grundheber
  公爵/使用人:Gerhard Siegel
  劇場支配人/銀行家:Julian Close
  ゴル博士(医事顧問)/教授:Aus Greidanus

終演後、エルトマンとラルモアのサイン会がありました。saraiはもちろん、参加。日本ではありえないことですが、閑散としたサイン会。エルトマンのサインもいただき、2ショットで写真も撮らせてもらいました。お話では秋に鈴木さんと日本で公演しますということで、はてな? よく聴くと、バッハ・コレギウム・ジャパンの鈴木雅明さんのことでした。チケットがまだあれば、行かなくっちゃね。


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