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束の間のミュンヘン:レンバッハハウス美術館のアウグスト・マッケ

2014年6月17日火曜日@ミュンヘン/8回目

青騎士の館、レンバッハハウス美術館を鑑賞しています。

青騎士は20世紀初頭の前衛的な美術運動でした。カンディンスキー、マルクの主導により、ミュンヘンで1911年に起こされて、第1次世界大戦の勃発する1914年までのわずかな期間で終焉しましたが、その影響は大きいものでした。ドイツ表現主義や抽象絵画の大きなうねりを作り出しました。青騎士の終焉の直接的な原因である第1次世界大戦でマルクは戦死しますが、同じく、青騎士の中心メンバーだったアウグスト・マッケも27歳の若さで戦死します。今回はこのマッケの作品を取り上げましょう。

《林檎を持つ肖像》です。1909年、マッケ22歳頃の作品です。それにしてもこの絵に描かれている女性のとても魅力的なことに惹き付けられます。このモデルは誰でしょう。実は結婚したばかりの妻エリーザベトです。妻が林檎を持っているのは意味があります。マッケはパリでの画家修業を終えて帰ってきたところです。この時代、パリで林檎というと・・・セザンヌですね。パリでセザンヌの絵画に大いにに影響を受けました。しかし、この絵の魅力は何と言っても新妻の美しさです。慌てて、エリーザベトを描いたほかの絵も見ましたが、やはり、美しい! 彼女が5年後には未亡人になるとは悲劇です。

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《ネコと静物(家の精霊) 》です。1910年、マッケ23歳頃の作品です。セザンヌばりの静物を想像するとビックリです。にやけた表情の猫、バックのジャズのバンドのポスターなど、賑やかで明るい作品です。セザンヌのように多視点でも描かれていません。これって、なんでしょう。でも、心が和む絵です。

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《青い背景の3人の裸婦》です。1910年、マッケ23歳頃の作品です。これまた、セザンヌの大水浴を想像すると裏切られます。わざわざ、構図を平板化しているような印象です。

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《ベルンハルト・ケーラーの肖像》です。1910年、マッケ25歳頃の作品です。ベルンハルト・ケーラーは美術コレクターでマッケのパトロンでした。パリ留学は彼の援助によりました。美しき妻エリーザベトはケーラーの姪です。

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《私たちの大通り、灰色の空》です。1911年、マッケ24歳頃の作品です。マッケの絵が大きく変わっていくのは、1910年のマルクとの出会いが契機でした。表現主義的な絵画に変わってきています。

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《庭の花》です。1911年、マッケ24歳頃の作品です。色彩が魅力的です。構図が不安定なのもいいですね。

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《馬の上のインディアン》です。1911年、マッケ24歳頃の作品です。すっかり、青騎士的な絵画に変身しました。

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《座る裸婦》です。1912年、マッケ25歳頃の作品です。マッケには珍しいブロンズ像作品です。うーん、モデルは妻エリーザベトでしょうか。それなら、もっと美しく作ってほしかったですね。

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《動物園Ⅰ》です。1912年、マッケ25歳頃の作品です。これは素晴らしい作品です。マッケの魅力が爆発。色彩が鮮やかで、構図はシュールにも感じます。

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《花の絨毯》です。1913年、マッケ26歳頃の作品です。鮮やかな色彩を獲得したようです。

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《山羊と子供たち》です。1913年、マッケ26歳頃の作品です。まるで先輩のマルクを思わせる絵画です。

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《遊歩道》です。1913年、マッケ26歳頃の作品です。マッケ独自の画風を確立しつつある作品です。色彩、構図ともに見事です。グラデーションを多用することでもっこりした雰囲気を醸し出しています。

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《帽子店》です。1913年、マッケ26歳頃の作品です。画風が安定しています。

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《橋の上の散歩》です。1913年、マッケ26歳頃の作品です。少し色彩を抑えていますが、紛れもないマッケの到達した高いレベルの作品に仕上がっています。

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《トルコのカフェ》です。1914年、マッケ27歳頃の作品です。色彩が目覚ましく明るくなり、構図も大胆です。この先、マッケの画風がどう進化していくかが楽しみですが、マッケに残されたのは数か月だけでした。ちなみにマッケはトルコを訪れたことはなく、これはミュンヘンのトルコ風のカフェを描いたもののようです。

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晩年、といってもマッケは20代半ばですが、素晴らしい傑作を残しています。あと数年あれば、とてつもない絵画を描き上げたような気がします。かえすがえす、マルクと同様に惜しい逸材を戦争で失いました。起こしてはならない戦争でした。マッケは日本ではほとんど知られていない画家ですが、その素晴らしい才能に注目したい画家の一人です。

もう少しだけ、レンバッハハウス美術館の青騎士の画家たちの作品紹介にお付き合いください。


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ジャンル : 海外情報

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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