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束の間のミュンヘン:レンバッハハウス美術館のパウル・クレー

2014年6月17日火曜日@ミュンヘン/11回目

青騎士の館、レンバッハハウス美術館を鑑賞しています。

今回でレンバッハハウス美術館の作品紹介も終了です。しんがりはやはり、パウル・クレーにしましょう。saraiの好きな画家10人にはいるクレーです。美術館でクレーの作品を見つけると、配偶者と思わず、目を合わせて、にっこりとしてしまいます。彼も青騎士の画家の一人です。カンディンスキーやヤウレンスキーとのつながりも強かったようです。とりわけ、マルクとは親友で彼の戦死には相当、打撃を受けたようです。クレーは1879年、スイスのベルン近郊で生まれ、後にミュンヘンで絵を学び、ドイツで活躍しますが、ナチスの弾圧でスイスに亡命し、そこで難病の皮膚硬化症を発症し、5年の療養生活の後、1940年に無念の死を遂げます。療養中も制作を続け、線画で描いた天使シリーズは名高いですね。saraiもわざわざ、ベルンのクレーセンターを2度も訪れて、天使シリーズも含めて、傑作の数々を鑑賞しました。同じベルンのベルン市立美術館には最高傑作の《パルナッソス山へ》が所蔵されています。光輝く名画中の名画です。ベルンはクレーのファンの聖地です。しかし、このレンバッハハウス美術館にもクレーの傑作が所蔵されています。今回はそれを見ていきましょう。


《破壊と希望》です。1916年、クレー37歳頃の作品です。第1次世界大戦の勃発後、2年。この年、クレー自身も出征します。繊細な線で描かれた緻密な作品ですが、クレーの心の内を表現しているのでしょう。

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《R町》です。1919年、クレー40歳頃の作品です。同じ年に代表作《R荘》(バーゼル美術館所蔵)も描かれています。具象的な素材をコラージュしたような作品。見どころは全体の構成感と色彩の妙でしょう。

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《破壊された場所》です。1920年、クレー41歳頃の作品です。小さな画面に描き込んだのは、クレー自身も従軍した第1次世界大戦の恐ろしい経験でしょう。親友マルクの戦死も影を落としているのだと思います。美しく、そして、痛ましい絵画です。

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《ローズ・ガーデン(薔薇園)》です。1920年、クレー41歳頃の作品です。この年、クレーはバウハウスの教授に迎えられました。この頃、クレーは無機的なもの(人工物など)と有機的な自然を組み合わせて、統合的な世界を絵画の中に作り出そうとしていました、この作品は丸い薔薇と直線的な煉瓦や建物を組み合わせて、統合的な美を表現しています。シックな色合いでピースを積み上げた構図の素晴らしさ・・・画家の美的センスに驚くばかりです。

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《野いちご》です。1921年、クレー42歳頃の作品です。これは演劇を意識した作品でしょう。画面全体は舞台で、そこに登場するのはいちご人間。一体、どういうドラマが展開されるのでしょう。こういう作品が最終的には、天使シリーズに収斂していくのかな。

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《野生の人》です。1922年、クレー43歳頃の作品です。アルルカンの衣装を着た、生々しい人間の姿。上下に描かれている矢印は人間の様々な欲望を表しているようです。

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《植物劇場》です。1924年、クレー45歳頃の作品です。その後、1934年に手を加えて、1935年にベルンの個展で発表した作品です。10年がかりで完成させた作品とも言えます。大変な作品です。傑作だと思います。これも画面が舞台になっていて、登場人物は植物たちです。しかし、植物と言っても現実的なものではなく、クレーが夢想する植物。シュールな作品とも思えます。一番の見どころはそういう道具立てではなく、暗い茶系の色彩で統一されて、その中にさまざまな形象が配置されている画面全体のとてつもない美感にあります。こういう感覚でsaraiを魅了してくれるのは、クレーとピカソの2人だけです。

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《赤の上の果実》です。1930年、クレー51歳頃の作品です。クレーはプロ並みのヴァイオリンの腕前だったそうですが、この作品で使っている赤いハンカチはそのヴァイオリン用のあごあて布だったそうです。素材をそのまま活かした作品は珍しいですね。

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《リズミカルに、より正確に、自由に》です。1930年、クレー51歳頃の作品です。クレーは音楽の律動感を絵画で表現することに情熱を燃やしていました。この作品もその1枚。

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《海辺の崖》です。1931年、クレー52歳頃の作品です。最高傑作《パルナッソス山へ》と同じく、点描画で描かれています。点描と言っても、スーラのように細かい点で描くのではなく、大きな点で描いています。彼は1926年のイタリア旅行でラヴェンナを訪れ、ビザンチン美術に触れ、それを契機にモザイク風の点描画を描くようになったようです。

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《解剖学的ヴィーナス》です。1933年、クレー54歳頃の作品です。まるでレントゲン写真で撮ったヴィーナスみたい(笑い)。

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《大天使》です。1938年、クレー59歳頃の作品です。クレーの天使と言えば、白い背景に黒い線だけで描いたものを思い浮かべますが、線画には違いがなくても、背景に美しい色彩が施された本作も素晴らしいですね。

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青騎士時代のクレーの作品がないのが残念ですが、クレーの素晴らしい作品を鑑賞できて、幸せです。

今日は遂に青騎士の素晴らしい絵画を鑑賞することができました。カンディンスキーはもとより、マルク、マッケ、ミュンター、クレー、ヤウレンスキーなど、傑作の山です。いやはや、聞きしに勝る素晴らしいコレクションでした。青騎士の芸術を堪能しました。


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