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ワルキューレ@バルセロナ・リセウ劇場 2014.6.3

何と24年ぶりのバルセロナ・リセウ劇場です。バルセロナでワーグナーというのも妙なものですが、カーセンの演出でスーパーキャストとなれば、聴きたくもなります。実際、とても聴き応えのあるワルキューレでした。これまで聴いたワルキューレの中でもトップを競う出来栄えでした。主役級の6人のスーパースターはみな絶好調とも言える歌唱。若干、オーケストラが弱く感じますが、ワーグナーの重厚さではなく、ロマンチックさを目指す演奏でうまくカバーした感もあります。指揮者ポンスの音楽性がオーケストラをうまくコントロールしたとも言えます。そのロマンチック路線で一番、成功したのは、フォークトとカンペが歌ったジークムントとジークリンデの純愛コンビ。ワーグナーとは思えない重厚さを排した軽めの歌唱がとても好感を持てました。初聴きの売れっ子フォークトはヘルデン・テノールかと思っていましたが、クリアな高域の響きは重厚さはありませんが、素晴らしい響き。ちょっとびっくりでしたが、女性ファンの多いのもうなづけます。そして、一番の収穫はカンペです。とても美しい響きのソプラノ。ベルベットのように柔らかく、それでいて芯のしっかりした声に魅了されます。第3幕冒頭の悲運を嘆き、かつ、子供を産むことへの希望を叫ぶところでは強い感銘を受けました。これから目を離せない歌手の一人です。
一方、期待したカーセンの舞台作りは今一つに思えます。ロマンチック路線の美しさに欠けていたのが残念です。saraiの思い込みかもしれませんが、カーセンと言えば、どうしても美しい舞台を期待してしまいます。美しい指輪というのもいいかなと勝手に思っていましたが、今どきのワーグナーらしく、シンプルで簡素な舞台。これって、えらく普通のワーグナーに思えます。予算の関係もあるのかもしれませんが、saraiをうならせるような舞台にしてほしかったというのが正直な感想。
歌手に話を戻すと、ヒロイン役であるブリュンヒルデを歌ったテオリンは実に素晴らしい。これだけのブリュンヒルデを聴くのは久々です。見栄えもいいので、現在、最強のブリュンヒルデかもしれません。何と言っても、強靭な声の声の響きが素晴らしいです。彼女が登場すると、舞台はロマンチック路線から飛翔し、深く重厚なワーグナーに一変します。
女声陣では、一番素晴らしいのは藤村実穂子。この人の歌うフリッカは今まで聴いた中で最高です。声の響きは強く、深く、パーフェクト。損な役回りのフリッカですが、主役を食ってしまいそう。昨年、ウィーンで聴いた《グレの歌》のときと同様に彼女はオペラ人生で最高のときを迎えているようです。それに舞台全体を支配してしまう貫禄というか、オーラが凄いですね。いい意味で日本人とは思えません。
ウォータン役のドーメンはさすがの歌唱。この人も現在、最強のウォータンの一人ですね。低域の響きは何とも言えず、素晴らしいです。文句の付けどころなしです。人間(神?)の強さ・弱さをすべて自然に具現化してくれます。
最後はフンディング役のハルフヴァルソン。まさにフンディングを歌うために生まれてきたような人ですね。これまた文句なし。
こう書くと、少なくとも歌手は世界最高水準であることになります。実際、そういうオペラ公演でした。ただ、最高のワルキューレかと言われると、やはり、オーケストラの弱さがあります。ウィーンやバイエルン国立歌劇場でこれだけの歌手が揃えば、文句なしに最高のワルキューレだったでしょう。ただ、それは贅沢を言ってみただけで、大満足のワルキューレではありました。

最後に、今日のキャストは以下です。

  指揮:ジョゼップ・ポンス
  演出:ロバート・カーセン、パトリック・キンモント
  管弦楽:リセウ大劇場管弦楽団
  
  ジークムント: クラウス・フローリアン・フォークト
  ジークリンデ: アーニャ・カンペ
  フンディング: エリック・ハルフヴァルソン
  ウォータン: アルベルト・ドーメン
  ブリュンヒルデ: イレーネ・テオリン
  フリッカ: 藤村実穂子



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