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ザルツブルグ精霊降臨音楽祭で大いなる感動:チェネレントラ@ザルツブルグ・モーツァルト劇場 2014.6.5

人生で何度も聴けない素晴らしいオペラでした。これまで聴いてきた中で間違いなく、BEST5にははいるでしょう。もしかしたらBEST3に入るかもしれません。気が早いですが、少なくとも今年末のsaraiの音楽BEST10でトップになるのは間違いなしです。
ロッシーニの音楽の真髄に初めて触れた思いです。不世出のロッシーニ歌手、チェチーリア・バルトリがいればこそです。

実はsaraiは今回がザルツブルグ初デビューです。その初めての機会にこれほどのオペラが聴けて大変幸福でした。今回のヨーロッパ遠征はこのオペラが聴きたくて、このオペラに合わせてスケジュールを決めましたが、その期待を上回る大変な出来のオペラ公演でした。

今日はザルツブルグ精霊降臨音楽祭の初日。オープニングを飾るのがロッシーニの歌劇《チェネレントラ》。モーツァルト劇場での公演です。今年のザルツブルグ精霊降臨音楽祭はロッシーニがメインテーマで今日を皮切りに5日間開催されます。最後のフィナーレ、ロッシーニの歌劇《オテロ》まで聴きます。

今日のキャストは以下です。

  指揮:ジャン=クリストフ・スピノジ
  演出:ダミアーノ・ミキエレット
  管弦楽:アンサンブル・マテウス
  
  アンジェリーナ(チェネレントラ): チェチーリア・バルトリ
  ドン・ラミロ: ハヴィエル・カマレーナ
  ドン・マグニフィコ: エンツォ・カプアーノ
  ダンディーニ: ニコラ・アライモ
  アリドーロ: ウゴ・ガリアード
  クロリンダ: ライネッテ・タピア
  ティスベ: ヒラリー・サマーズ

まず、今回の演出について触れておきましょう。演出のダミアーノ・ミキエレットはイタリアの若手で、ひっぱりだこの人気だそうです。記憶に新しいところでは、ザルツブルグ音楽祭でネトレプコがミミを歌った《ラ・ボエーム》が彼の演出。
アリドーロが狂言回しであるのは、どの演出でもそうですが、今回は彼は徹頭徹尾、天使を演じ、舞台にでずっぱり。天使が人間世界に数々の教訓を示していくという設定です。真面目で性格もよく、健気に生きてゆくアンジェリーナに幸福をもたらすというのがオペラの軸になっていますが、特に面白かったのは最後の結婚式の場面。花婿ドン・ラミロ王子と花嫁アンジェリーナから皆への結婚のお祝いは、ゴム手袋とバケツ。日頃、額に汗して働いていたアンジェリーナの象徴です。勤勉なものは幸福になれる。幸福を得るためには勤勉が大切。そういうメッセージが読み取れます。単純明快なテーマですが、ヨーロッパでもこれが今日的なテーマなのでしょう。

音楽面では、指揮のスピノジの貢献が光ります。実に丁寧で明快、そして、熱く指揮。音楽を楽しみ、愛する気持ちが全面に出ていました。もちろん、古楽アンサンブルの演奏という要素はありますが、それは今では当たり前とも言える演奏スタイル。やはり、音楽は楽しく、美しくなければいけませんね。それを示してくれたスピノジでした。
そして、もちろん、このオペラのタイトルロールを歌ったバルトリの素晴らしさは大変なものです。若いころから、この役を得意にしてきた彼女の集大成が聴けたように思います。声域の広さは驚異的で、低域から高域までアジリタは超絶的です。タイプは異なりますが、こういう声の響きの素晴らしさと超絶技巧を聴かせてくれたのは、バルトリ以外にはグルベローヴァを知るのみです。終始、素晴らしい歌唱を聴かせてくれましたが、終盤の盛り上がりは、超絶技巧だけでなく、音楽的内容の高みに駆け上がり、もう感動するしかありませんでした。繊細さ、劇的な迫力、美しい声の響き、超絶的なアジリタ、どれをとっても凄まじいものばかりで、オペラ界の至宝とも思えます。期待以上のものでした。
ラミロ王子役のハヴィエル・カマレーナも初聴きでしたが、その張りのある声の響きには驚かされます。フローレスのファンの方からは叱責されるかもしれませんが、フローレスを超える資質にも思えます。高音のよく出るところは両者とも同じですが、フローレスの声質が少し細過ぎるところを完璧にした感じのカマレーナの声の響き。素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。
あと素晴らしかったのはダンディーニ役のニコラ・アライモ。その巨体から出るボリュームのある声の響きとテクニック。演技力も抜群でパスタを食べるシーンでは死ぬほど笑わせてくれました。
ロッシーニのオペラではアンサンブルも重要ですが、5人、6人の重唱の見事なこと。これぞ、ロッシーニとうならせてくれました。

見どころ、聴きどころが満載で書き切れません。演出のミキエレット、指揮のスピノジ、そして、音楽祭の総監督でもあるバルトリへ限りない賛辞を送ることで感想をしめくくります。

フィナーレでは感涙にむせぶばかり。オペラを聴いてきて、本当によかった。カーテンコールでは、さらに感涙にむせびます。突如、指揮のスピノジが聴衆の拍手を制し、舞台上からオーケストラを指揮し始めました。なんとアンコールかと思えば、聴こえてきたのは・・・Happy Birthday。 この主役もバルトリでしした。昨日が彼女の48歳の誕生日だったんです。これまた、感動のHappy Birthday。聴衆も一緒になって、この素晴らしいオペラを贈ってくれたバルトリに惜しみないお祝いを送りました。



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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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