ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その2@バーゼル市立美術館
バーゼル市立美術館の素晴らしいコレクションの数々をご紹介しています。今回は2回目。
次はマックス・ベックマンです。ドイツ表現主義の画家です。彼もまた、ナチスに退廃芸術と烙印を押されました。
《フランクフルトのニース(The Nizza in Frankfurt am Main)》です。1921年、ベックマン、37歳の作品です。彼はフランクフルトの風景をこういう、くっきりしたタッチでよく描いています。フランクフルトのマイン河畔の北岸には、コートダジュールの地中海気候の植物が植えられています。そこはニース(ニッツァ)と呼ばれています。その風景を描いた絵画です。この絵画も退廃芸術として処分されるものをバーゼル市民が救い出しました。

次はエルンスト・ルートヴィッヒ・キルヒナーです。ドイツ表現主義の画家です。彼もまた、ナチスに退廃芸術と烙印を押され、そのショックから立ち直れず、ピストル自殺を遂げるという悲惨な末路を辿りました。
《Amselfluh》です。1922年、キルヒナー、42歳の作品です。山の風景を描いたものですが、空は緑色に塗られ、山はピンク色。風景も極度にデフォルメされています。山が波のように描かれています。彼の心の眼が捉えた自然の姿です。

次はワシリー・カンディンスキーです。言わずと知れた抽象絵画の創始者です。
《即興35(Improvisation 35)》です。1914年、カンディンスキー、48歳の作品です。カンディンスキーは《即興》と題した作品を1909年から1914年にかけて、数多く制作しました。《即興》というのは心に無意識に浮かんだものを素早く描いたものです。この激しいタッチの描き方は後のアクションペインティングを先取りしたものだと言われています。

次はピエト・モンドリアンです。カンディンスキーと並び立つ抽象絵画の創始者です。この旅の始めにデン・ハーグ市立美術館でモンドリアンの世界最大のコレクションを見たばかりです。そのときの記事はここです。
《赤と黒のコンポジションNo.Ⅰ(COMPOSITION NO.I, with Red and Black)》です。1929年、モンドリアン、57歳の作品です。このスタイルの抽象画を15年以上も描き続け、こういうシンプルなスタイルに到達しました。究極の1枚でしょう。この後には、もうブギウギ・シリーズしかありません。

次はサルヴァドール・ダリです。
《燃えるキリン(The Burning Giraffe)》です。1936年~1937年、ダリ、32歳頃の作品です。ダリらしく、悪夢のような世界が描かれています。

次はマックス・エルンストです。彼もダリと同じく、シュールレアリスト。
《大きな森(The Big Forest)》です。1927年、エルンスト、36歳の作品です。荒涼たる世界です。

次はピエール=オーギュスト・ルノワールです。ここから、19世紀の画家のコーナーです。
《庭にいる婦人(Woman in a Garden)》です。1868年、ルノワール、27歳の作品です。女性を描かせたら、並ぶものなしですね。

次はアルノルト・ベックリンです。スイス出身の象徴主義の画家です。バーゼル生まれですから、ここはベックリンのコレクションが充実しているのもうなづけます。そのコレクションの中でも、有名な《死の島》に再会するのを楽しみにしていました。
《死の島(The Island of the Dead)》です。1880年、ベックリン、53歳の作品です。この有名な作品は同様の構図で5枚も描かれました。ここにある作品はその中の最初の作品です。昨年、ベルリンの旧ナショナル・ギャラリーで、《死の島》の第3バージョンを見ました。ヒットラーの総統室に掛けられていたというものです。ナチスに嫌われた退廃芸術もあれば、好まれた作品もありました。ベルリンの《死の島》の第3バージョンの記事はここです。両者を比較すると、この第1作はとても暗い絵です。

《オデュッセウスとカリプソ(Odysseus and Calypso)》です。1882年、ベックリン、55歳の作品です。《死の島》の2年後に描かれたことになります。《死の島》と同様にフィレンツェ滞在時の作品です。幻想的な絵です。

《遊びに興じるネレイスたち(Nereids at Play)》です。1886年、ベックリン、59歳の作品です。何ともコメントできない絵です。彼の想像力にもびっくりしますが、何を表現しようとしているか、見当もつきません。ちなみにネレイスというのは海の精(女神)のことです。

《パン(牧神)が山羊飼いを驚かす(Pan Startles a Goatherd)》です。1859年、ベックリン、32歳の作品です。これも超現実的なシテュエーションを描いた作品です。

《ペスト(Pan Startles a Goatherd)》です。1898年、ベックリン、71歳の作品です。死の3年前の作品です。これはペストの猛威を描いたものですね。この時代もペストの危機がありました。

次はフェルディナント・ホドラーです。スイスの画家です。
《The Niesen》です。1910年、ホドラー、57歳の作品です。山を描いた風景画。ヴィンタートゥールでも同様の作品を見ました。

《無限との交わり(Communion with Infinity)》です。1892年、ホドラー、39歳の作品です。ホドラーのこの手の絵は好きです。何か感じるものがあります。

《勇敢な女(Communion with Infinity)》です。1886年、ホドラー、33歳の作品です。比較的、初期の作品です。3年後には代表作《夜》を描きますが、その片鱗は見えるものの、この後、数年の飛躍は大変なものです。

次はカミーユ・コローです。
《泉の近くのイタリアの少女(Italian Girl by a Fountain)》です。1865年~1870年、コロー、70歳頃の作品です。美しく、印象的な絵です。

次はエドガー・ドガです。
《怪我を負った騎手(Injured Jockey)》です。1896年~1898年、ドガ、64歳頃の作品です。得意の馬の絵です。

バーゼル市立美術館の名画コレクションはまだまだ続きます。
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