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旅はオランダから~デン・ハーグ市立美術館の珠玉のモンドリアン・コレクション・・・具象から抽象への跳躍

2013年4月6日土曜日@アムステルダム~デン・ハーグ~デルフト/4回目

デン・ハーグ市立美術館には、ピエト・モンドリアンの世界1のコレクションがあります。モンドリアンはカンディンスキーと並んで、本格的な抽象絵画の世界を切り拓いた先駆者の一人です。その彼も最初から抽象絵画を描いていたわけではありません。彼が具象絵画から抽象絵画に至る過程をこの美術館の膨大なコレクションで見通すことができます。収蔵数は290点にも及ぶようですが、展示されているのは代表的な作品、30点ほどです。この展示だけでも、モンドリアン大回顧展の様相があります。特に必見の作品は、最後に描いていた未完成の遺作《ヴィクトリー・ブギウギ》です。また、具象から抽象に至る過程が見てとれる『リンゴの樹』の連作も見逃せません。

では、時代順に見ていきましょう。

《鶏のいる果樹園》です。1901年頃、29歳の作品です。この時期の特徴である木々を描いた風景画です。当時のオランダでは、フランスの「バルビゾン派」の影響を受けた「ハーグ派」という写実絵画が隆盛であり、初期のモンドリアンの絵は、ハーグ派の影響を受けていました。また、オランダで最も権威のある芸術賞「ローマ賞」に応募するも落選を重ね、社会への失望感をつのらせている時期でもありました。


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《太陽と柳》です。1902年~1907年頃、30~35歳の作品です。アムステルダム印象派の影響を受けるようになっています。なかなか、見事な作品ではありませんか。


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《霧のGeinrustファーム》です。1906年~1907年頃、34~35歳の作品です。これは素晴らしい作品ですね。ウィリンク・ファン・コレン賞を受賞し、認められるようになってきました。


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《ヘインの水辺の木》です。1906年~1907年頃、34~35歳の作品です。この頃は、同様の傾向の作品が続きます。対象が並んだ樹木ですが、象徴主義的にも感じられます。


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《ヘインの夕刻》です。1906年、34歳の作品です。ロマン主義と象徴主義の狭間にあるような作品に感じられます。


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《昇る月とヘイン河畔の5本の木》です。1907年~1908年頃、35~36歳の作品です。既に自然をありのままに描くのではなく、自由な色彩表現で描いています。非常にインパクトのある独自表現の絵画に足を踏み入れてきました。


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《夏の夜》です。1907年、35歳の作品です。これは実に幻想的な作品です。夜を好んだというモンドリアンのロマンあふれる1枚です。後の抽象化とはまた違った傾向で、この方向に進むこともありえたかも知れません。ゴッホの影響も感じられます。


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《赤い木》です。1908年、36歳の作品です。ゴッホが用いたフォルムを取り入れた作品。ゴッホとは、タッチが異なりますが、自然を題材に自己の内面を表出させ、激しく見る者に迫ってくる傑作です。


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《日の当たる風車》です。1908年、36歳の作品です。ゴッホを思わせるタッチの絵画ですが、3原色を用いた色使いが後のコンポジションを予感させる作品です。


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《素晴らしい風景》です。1907~1908年、35~36歳の作品です。この頃、海や砂丘などの絵画を盛んに描いています。自然の中の線(曲線)に興味を持っていたようです。女性の体の曲線を連想することもあったようです。空の色彩表現も鮮やかです。


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《海の風景》です。1909年、37歳の作品です。これも題材は上の作品と同様で、自然の中の線を意識したものですが、注目すべきはゴッホのようなタッチで描いた色彩の抽象化とも言えるものです。自然が分解されて、抽象の世界に向かっていきます。


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《ドンブルグでの砂丘》です。1910年、38歳の作品です。さらに自然の抽象化が進んでいきます。色使いも実にシンプルです。


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《進化(Evolution)》です。1911年、39歳の作品です。これはずい分、傾向が異なる作品です。女性のヌードは珍しいですね。肩に星形のものがありますが、同様にトケイソウを置いた作品も描いているので、その延長上の作品でしょうか。


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《赤い風車》です。1911年、39歳の作品です。具象的な絵ではありますが、極端に単純化したこの絵は抽象への道を指し示しています。


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《灰色の木》です。1912年、40歳の作品です。『リンゴの樹』の連作の1枚です。リンゴの生い茂った木をぎりぎりの具象表現で描いた作品。ほとんどモノクロームに近い色彩、デフォルメされた木や枝は装飾的なデザイン画にも見えます。


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《花盛りの林檎の木》です。1912年、40歳の作品です。これも『リンゴの樹』の連作の1枚です。《灰色の木》を一歩、抽象表現に近づけた作品。抽象絵画ではありますが、まだまだ分かりやすいレベルです。しかし、これはもうモンドリアン・ワールドの到来を告げています。


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《花盛りの林檎の木》です。1912年、40歳の作品です。これも『リンゴの樹』の連作の1枚です。もう、これは完全な抽象絵画でしょう。林檎の木だと知らずに見たら、何が描いてあるか、分かりません。ブラックやピカソのキュビズム作品の影響も感じられますが、ちゃんとモンドリアンの独自性もある素晴らしい作品です。ただ、この1枚だけ見せられたら、ブラックの作品だと誤認するかもしれませんね。


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この作品以降、モンドリアンは抽象絵画の世界にはいります。それも線と色彩のみの純粋な抽象絵画です。いわゆる、コンポジションという題名のシリーズの絵画群です。モンドリアンと言えば、そういう絵画が代名詞になっているものです。それらについて、これからご紹介します。


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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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