ウィーンで音楽三昧:ウィーンの原型を巡る散策、バーミューダ・トライアングルで完了、そして、カフェ《ハヴェルカ》でランチ
ウィーンの原点ウィンドボナ巡りを続けています。聖ループレヒト教会の古の姿を回顧しながら、時を過ごしました。少し、この教会の界隈を歩いてみましょう。
歩いてすぐに、数人の女性の集団と警察官が地図を片手に考え込んでいる様子が目に飛び込んできました。どうも目指すホテルが見つからないようです。この辺りは、いろいろ入り組んだ路地が多そうです。結局警察官も分からなかったようで、女性達はさらにウロウロ探し続けています。この光景はあることを想起させます。実はこのあたりは多くの警察官が配置されている場所なんです。例えば、やたらに酒屋や酒場が目につきます。これはユーデンガッセJudengasseにあるワイン・バーVulcania。

今は真昼間ですが、夜ともなれば、このあたりは若者たちで賑わう一画で、その喧騒は夜中ずっと続くそうです。伝統的なウィーン風のカフェや居酒屋とは異なるタイプのカフェ・バーなどの深夜営業の店やライブハウスが1980年代半ばから進出するようになったそうです。このあたりの一画はバーミューダ・ドライエッケ(トライングル)と呼ばれるようになっています。ただし、非常に安全なバーミューダ・トライングルではあるようです。何故かと言えば、先ほどの光景で分かるように多くの警察官が配置されているからです。1982年のユダヤ人施設へのテロ事件以来、軽機関銃を携えた警察官が警備犬を従えて、常にパトロールしているそうです。
これはユーデンガッセとシュテルンガッセSterngasseの角にある瀟洒な酒場です。

そのユーデンガッセとシュテルンガッセの角からフライシュマルクト通りFleischmarktのほうに向かうと、左手に異様な塔に出会い、ぎょっとします。これはコルンホイゼルの塔(Kornhauselturm)です。コルンホイゼルは19世紀前半に活躍した建築家で、この界隈に多くの作品を残しています。この塔は彼のアトリエ兼隠れ家だったそうです。嫉妬深い妻の目から逃れるためにこの塔を作ったそうです。1825年の完成です。塔には階段がなく、自分が上った後は梯子を引き上げ、妻の追跡を逃れたそうです。凄絶な作品なんですね。ちなみに、上に紹介したユダヤ人施設へのテロ事件というのは、このコルンホイゼルの作であるユダヤ教のシナゴークを舞台としたものでした。

コルンホイゼルの塔の横の階段を下りて、フライシュマルクト通り少し進むと、右手にバウエルンマルクト通りBauernmarktが始まります。通りの先には、有名なアンカー時計Ankeruhr Clockが見えています。このアンカー時計はクリムトのライバル、フランツ・マッチュが1917年に完成させたものです。時計は通りの両脇に建つ旧アンカー保険会社の建物をつなぐ空中回廊に取り付けられています。

アンカー時計をズームアップしてみましょう。

フライシュマルクト通りから後ろを振り返って見ます。階段の右手には、コルンホイゼルの塔、階段の上は小広場になっていて、ホテル・メルキュール・ウィーン・ツェントルムHotel Mercure Wien Zentrum、そして、ユーデンガッセとシュテルンガッセの角が見えています。

バーミューダ・トライアングルを脱出し、ローテントゥルム大通りRotenturmstraßeに出ました。ケルントナー通りKärntner Straßeへと続く賑やかな通りです。この通りが昔のウィンドボナの東側の城壁でした。

ローテントゥルム大通りを聖シュテファン大聖堂のほうに歩いていくと、左手にルーゲック広場Lugeckが見えます。広場には、オープンテラス席がありますが、テント屋根で覆われているため、雨天にもかかわらず、お客さんで賑わっています。広場の奥にはグーテンベルク像も見えます。今回の旅では、よくグーテンベルクに遭遇します。マインツ、ストラスブール・・・

ローテントゥルム大通りも残り僅か、聖シュテファン大聖堂ももうすぐです。

遂に散策の出発点、聖シュテファン大聖堂に戻ってきました。

ウィーンの原型、ウィンドボナは周囲わずか2kmほどでした。1時間ちょっとの散策でしたが、古いゴシック期の教会3つなど、見どころの多い散策でした。アム・ホーフ広場やバーミューダ・トライアングルも面白いところで、歴史のロマンに満ちています。
最後にこのシュテファンズプラッツから、ゴルトシュミード小路Goldschmiedgasseの向こうに聖ペーター教会のドームが見えることを発見。

さて、そろそろお昼にしましょう。今回のウィーンのテーマはカフェでランチ。昨日はカフェ・ハイナーでしたが、今日はグラーベン通りから、ちょっと路地(ドロテーアーガッセDorotheergasse)にはいったところにあるカフェ・ハヴェルカCafé Hawelkaです。
ここまでの散策のルートを地図で確認しておきましょう。

このカフェ・ハヴェルカはチューリッヒのレストランで隣り合わせたウィーンっ子に強く推薦されたお店です。お店の前に立つと、ピッタリとドアが閉まっています。あれ、定休日?お昼休憩? 恐る恐るドアを押してみると、開きます。と、店内は薄暗くてよく見えないのですが、まるで貸切パーティーでもやっているのかと思うほどの混雑ぶり。

満席のようなので帰ろうかと思っていると、配偶者がお店の“おっさん”みたいなスタッフとアイコンタクトして、手招きされました。どこか、テーブルに案内してくれるようです。行ってみると、そこはちょうどお客さんが席を立つところで、その席を割り当ててくれるようです。ランチはあるかと訊くと、ランチはないけど、牛肉とパスタの定食のようなものがあるとのこと。ちょっとメニューを見せて欲しいと言うと、メニューはないというので、仕方ないので、その牛肉プレートを2人前注文。注文が終わり、目も暗闇に慣れ、落ち着いて店内を見渡すと、狭い店内に椅子やテーブルがぶつかるような感じで並んでいます。

入れ代わり立ち代わり客がやって来て、仕切り屋の“おっさん”が、席を用意していきます。相席でどんどん座らせます。

“おっさん”が椅子にぶつかりながら、コーヒーを運んでいます。ともかくお店が狭く、その狭い空間に客がすし詰めなので、大変に騒がしいです。普通は外のオープンテラスの席につけばいいのかもしれませんが、今日は生憎の雨で建物内のテーブルだけでした。晴れた日はまた印象が異なるかもしれません。

とりあえず、ミネラル・ウォーターだけが運ばれてきました。

次に牛肉とパスタなどがのったプレートが運ばれてきました。

ちょっとお肉が固くて、今一です。
食後、“おっさん”を呼んで、コーヒーを注文。

これはsaraiの頼んだアインシュペナー。

これは配偶者が頼んだメランジュ。

コーヒーカップが綺麗だったので、銘を見ると、Leopold Hawelka。このカフェのオリジナルです。

食後頼んだこのメランジュとアインシュペナーはなかなか美味しかったです。おっちょこちょいの“おっさん”が、配偶者のスカートの上にフォークを落としちょっと汚れましたが、ごめんねとナプキンで拭いてくれました。ま、憎めない“おっさん”です。これがこのお店の特色なのかもね。
これがそのほの暗い店内の様子と店を取り仕切っている“おっさん”スタッフが会計をしているところです。

ところで、このカフェ・ハヴェルカは昔、よく利用していたホテル・グラーベンの斜め前にありました。その頃は、このカフェの存在には気がつきませんでした。

この後、ホテルに戻り少し休息して、フォルクスオーパーでバレエ公演を見ました。

《真夏の夜の夢》です。目で楽しむバレエもよいものです。音楽は名曲揃いだしね。
これがネットで購入したチケット。

このバレエ《真夏の夜の夢》の公演の感想はここに書きました。
バレエの後は、ちょうど、そのバレエに来ていたお友達とカフェで食事しながら、1年ぶりの楽しいおしゃべり。音楽を中心に話は暴走しました! 次は6月の再会を楽しみにしましょう。
明日はウィーン国立歌劇場でガランチャとアラーニャの《ウェルテル》です。ガランチャの熱唱が楽しみです。演技も凄そうです。
次回を読む:17日目:ウィーンで音楽三昧、4日目 (5)
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